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ついに陥没してしまった

“ついに陥没してしまった”
これは作家の石田衣良が大嫌いな携帯電話を買ってしまった、と今日の朝日新聞のゼロサン時評というコラムの冒頭だ。そしてコラムの結びは”携帯が加速する表層の世界は、どんな未来を描くのだろうか”と。

昨日、利用する三鷹駅の中央線のホームで、近くにいた小学校3ー4年生位の男の子と女の子が、それぞれ母親らしき相手と”じゃ、これから中央線に乗るね!”と、話して電話を切った。話し終わるとそれぞれが鞄に入っていた小さな袋に携帯をしまって”いいって”と顔を見合わせていた。あっけにとられて見つめていた私にはちょっと刺激的なシーンだった。

ウィーンからポーランドのワルシャワまでの飛行時間は一時間二十分くらい。
乗り合わせたのは、これからワルシャワで携帯電話などの通信関係者のコンベンションに参加するグループ。隣の席の人と話がはずんだ。
その隣席の”SIEMENS”という携帯電話を扱っているという会社の彼に、私は”より忙しくなるようで携帯はもってないと”自慢する。彼は、飛行機を降りる時、数日ワルシャワに居るので何か困った事があったらこの番号に電話してと。


ワルシャワのエアポートで、一人グラジェ-ナを待っていた。
なかなか彼女は現われない。タクシーの勧誘がひつこくやってくる。
まだポーランドの小銭どころかお金も持っていない私は公衆電話もかけられない。
(両替所で換金しようと思ったら円は出来なかった。今までそんな事がなかったのでむしろ感心してしまった。)
そこへさっきの機内のグループの隣り合わせた人に出会う。”まだ現われない友人に電話をしたいのですが、この番号にかけていただけますか?”と早速私はお願いをした。彼はさっと携帯電話を取り出しピピピピ….。そこへグラジェ-ナ。.

グラジェ-ナは、シカゴ在住だけど夏は仕事もかねて故郷のポーランドに滞在。
その間ノキアの携帯を契約しているとのこと。滞在したワルシャワもクラクフも街には携帯、携帯、携帯。
グラジェ-ナの着信音はタンタンタタンタタンというリズム。
あまり絶え間がないので、あるときふたりでこれをイントロに曲を作ろうか?と冗談。
でも彼女にとっては、滞在中こなさなければならないビジネスの必須アイテム、私もタクシーの予約から友人との連絡、レストランや劇場の予約までずいぶん彼女のノキアに助けられたのは事実だ。

フーム世は正に携帯時代。持ってない私は持ってる人にずいぶん助けられた。
“ついに陥没してしまった”なんて、わたしもいつかは言うのかなあ?!