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伊勢やん,ありがとう

友人で音楽仲間の伊勢やんこと伊勢秀一郎さんが先週7月1日に亡くなりました。
ついに逝ってしまいました。

古い友達で、コロナで数年間お会いしていなかったのですが、昨年春久しぶりにお会いした時に病気のことを詳しく話してくださいました。その時はまだお元気で普段と変わらずお仕事もお酒も飲んでるとのことでしたが、ショックでした。

昨年4月のMystery Four のライブにスペシャルゲスト、9月の私のリサイタルにも参加していただき、伊勢やんは最近まで精力的にレコーディングやライブ活動を続けていました。私が聴いた最後のライブ、以前のコラムにも書きましたが、5月の新宿”One Note”での演奏はいつ倒れてもおかしくないくらいの渾身のプレーで神が降りていると感じました。

伊勢やんとは30年くらい前、私が六本木ピットインでライブをやっていた時に初めて参加していただいて、帰りにpianoの大徳さんと3人でよく打ち上げと称して飲んで帰りました。それ以来の友人で私は伊勢やん、彼はみっちゃんと呼んでくれました。私より4歳くらい年が若いので私はちょっとお姉さんぽい感じでした。純で優しく丁寧で素朴そしておかしい人です。たまに”また飲みましょう!”と年に一回くらいお誘いがあって、飲むと積もる話いっぱいです。音楽への愛、昔のこと楽しかったことなどいつも時間の経つのを忘れてしまいました。大徳さんがよくジャズ界に伊勢秀一郎ありと言っていました。律儀で礼儀正しく、控えめというのか、ちょっと恥ずかしそうで、エレガントです。そしておとぼけでおかしくて。昨年出来立ての新しいアルバム(さんさ時雨)を送ってくださって、優しい伊勢やんそのもので、中のライナーノーツには尊敬する人の言葉が載っていて、それも含めていい作品です。

「…素敵です!虚飾や見栄がない伊勢やんそのままで尊敬する人たちの言葉どうりの演奏で気持ちがいいです。ゆっくり大事に聞かせていただきます….。」って生意気なメールを送ったら「….みっちゃんからいただいたお言葉は、宝物です。ラッパを吹いてきてよかったなあと思います。….」。って。

私が美術が好きなのを知っているので、いつか両国の葛飾北斎美術館にぜひお誘いしたいと言っていました。その約束を果たそうと歩くのもやっとくらいなのに”5月の23日にもしお時間があれば”と、ご招待してくれました。、もう抗がん剤はやめて口からは食べられないと言っていました。きつい体を押して今日はお別れを言いたいからって。

 いい友達でした。

8日の朝の告別式には体調が悪く参列できなかったのですが、伺えた7日のお通夜の日は、仲間のミュージシャン、お弟子さん、ファンの方やお友達で溢れていました。

これは伊勢やんとの私の思い出の一つですが、伊勢やんのトランペットの美しい音色のように、誰にも優しく気取らなくて面白くて、それぞれの方に伊勢やんとの特別な思い出がたくさんあるのだと思います。

伊勢やん”ありがとう!”ゆっくり休んでくださいね。

合掌

式場は若い頃からの伊勢やん、いろんなバンドの仲間との写真や
マウスピースや譜面などの遺品がたくさん展示されていました。

ご招待していただいた両国の葛飾北斎美術館です。
上の階ではスカイツリーが見え
椅子に座りながらお話をしました
またゆっく訪れてみたい