また素敵なジャズミュージシャンがお亡くなりました。
Alt Sax土岐英史さんの訃報を聞いてびっくりしました。先月6月26日にがんでお亡くなりになったそうでショックでした。71歳という若さです。
土岐さんは、高校時代から演奏活動を始めていらっしゃったようで、私が歌い始めた時は、大活躍されていていました。笑顔が印象的な優しいお顔をされていて人柄も優しかったです。
私が歌い始めた頃は、譜面を見てレコードを聞いて覚えて、バンドと歌って、そのときについていた先生も1-2回のレッスンで、”次の曲を持ってらっしゃいって。
よくわからず歌って、こんなんでいいのかな?と疑問をずっと持っていたけど、自分で曲を覚え、心は込めているつもりでも表面的に歌うのが精一杯でした。
あるジャムセッションに、土岐さんがいらしていて、私にアドヴァイスをくださいました。
“1曲を3ヶ月くらいかけて練習してごらん!て。
もっと丁寧に練習しなければということでしょうね。メロディーと歌詞を歌うだけが歌ではないのだから、バンドと一緒にちゃんと音楽にならなければならないのだからということでしょうね。
今ではいくらでも一曲の中で宝探しや、いろんな側面から取り組むことができ、すぐには飽きないし,理想には追いつかないし、時間が足りないのですが、土岐さんの”一曲に3ヶ月?”はずっと頭の隅にあり、その主旨は私のなかにしっかり生きています。
一曲一曲が私たちの作品で、もっと美しく、面白く歌いたいと思う。そしたらバンドのメンバーと、もっといい曲になると思います。一歩一歩、これは一生の課題です。
ある時、海外の教育のカンファレンスのレセプションで土岐さんを何十年ぶりかにお見かけして、あの時のお礼を言おうと近づいていって
“土岐さんがこんなアドヴァイスをくださったんですよ!ありがとうございました!”と、
お伝えすると、あの笑顔で”そんなこと言ったんだ!って照れていらっしゃいました。
土岐さん、素敵な人でした。ご冥福をお祈りしています。