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“Whipash”

“セッション”という音楽学校のドラマーの男子生徒と教師が主役の映画が話題になっています。

音楽学校が舞台なので、何人かの生徒や友人たちも話していたので、今だと吉祥寺の映画館に見に行きました。緊張感があって刺激的、劇画調のドラマティックさ、最後までどうなるかわからない面白さはあったけど。ううん?

私が感想を話したら、誰かは、映画なんて見て楽しめばいいので、そんな考え込むことない!って。そう、普通は、いい映画だったなあ!とか、つまらなかった、と自分で思って終わりだけど。

この映画は、私も、音楽教師であり、また舞台になったような音楽学校に通った経験があるので。ありえない!ジャズはクラッシックと違って、権威的体質ではないし、私の通った学校は、先生もとてもフランクだったので、この学校の先生は、軍隊か運動部のしごきか?という時代錯誤に思える。

この映画を作った人は、これドラマにしたかった、ということだと思うけど。

日本では、”セッション”というタイトルが付いている(邦題によって、この映画の意味、微妙なニュアンスが変わってしまう)。

原題は”Whipash”むち打ちとか、痛めつけるとかいう意味。だから映画では、生徒をこれでもかと、シゴキ、痛めつけている。ビートを叩き込むためにビンタを、椅子を投げたり、罵倒したり、将棋の駒を操るような侮辱を浴びせる。やる気を起こさせるためと言っているけど、今時の学校ではありえない。他の生徒も先生の暴力、威嚇も、いつ自分もその目にあうのかわからないので、またそのポジションを失いたくないので、息を殺して小さくなって見ている。見ている私は、違和感で気分が暗くなってきているのがわかる。

私もボストンでの学生時代を思い出しましたが、私は血が出るほど練習したこともないけど、みんな練習するのを当たり前でみんな黙々とやっている。でもこの映画の光景は、恐怖政治か軍隊か、運動部か!という感じで。ちがう!

技術はもちろんだけど、音楽はそれだけではではない!という気持ちが、ウウウウと。

学生時代を思い出すと、ひとり人種差別をする先生がいて、東欧の友達も言っていたので、私だけが感じたのではなく、やっぱり!と思ったのを思い出しました。何年かして、映画のように、学校の職を失ったと聞き、コンベンションで顔を合わせた時、妙にフレンドリーに変身し、私に近寄ってきたので、気味悪かったのを思い出しました。やはり世の中いろんな先生がいます。

ミュージシャンでない友人の一人は、最近の映画で一番面白かったって。今までの映画と違って終わり方も劇的だし、音楽家としてすごくなるための描き方、ちょっとのロマンス、音楽学校の様子など、すごく面白かったと興奮気味に話した。映画として面白かったと。邦題のタイトルからは想像し得ない、”Whipash”。作った人はそれを強調したかったのだろう。

いろんな切り口で、考えさせられて、うううんん刺激的な映画だったけど。